SR情報を考えるブログ

株主に向けた情報を考えているブロブです。ご指導頂けると幸甚です。

株主向けのESG情報を考える【①株主目線編】

ESGの情報はとは何だ???

 それぞれのディスクロージャー媒体として、開示する内容は異なるのでしょうが、私がテーマにしたい株主向けのESG情報の開示について、何を開示するべきなのか、よくわからないのが正直なところです。まずは自分自身の整理を兼ねて、株主目線を考えたいと思います。

株主(投資家)目線の整理

ⅰ.株主(投資家)がESGを求める目的

 情報媒体として誰が使うのかが大事ですので、使い手の株主(投資家)の目線で言えば、『ESG投資』というぐらいですから、ざっくり言えば企業の情報として「Environment(環境) Social(社会)、Governance(ガバナンス)」について、収益機会やリスク回避、持続的な企業価値成長に向けて各要素をがどのように企業活動とリンクしているか。そして結果的に株価の悪影響を抑えて右肩上がりになって、業績(長期的)に良くなって配当も上がると期待や判断ができる情報ということでしょう。(もちろん、株主といっても個人もプロもいるのでプレイヤーによるのでしょうが、一番声の大きいであろうプロを想定して整理したいと思います。)

 

ⅱ.ESG投資も手法が違うらしい

 株主(投資家)によってESG投資の手法がいくつかあるらしいです。

ざっくり主だったものだと

①ネガティブスクリーン

 ESGについて、ネガティブな企業活動や体制である場合は、投資対象から除かれる 手法

 ESG投資より昔からあるSRI「社会的投資責任」*1なる考え方が根底にある手法と思ってます。環境や社会に悪影響のある会社とは我々の投資責任から言って問題があり、そんな会社は企業価値低下リスクが高すぎるので投資対象として除きます。という手法です。(言い方を変えると最低限の社会的な責任を果たしていれば、投資対象となりますということ。)

 

②ポジティブスクリーン

 ESGについて、企業の積極的に取り組んでいる会社は抽出して、投資を行う手法。

 ESGの社会的責任を積極的に行うことで企業の収益も上げる機会を創造している会社に投資すると理解しています。つまり、環境・社会問題の解決・改善は世の中の人のニーズとなってきており、そのようなニーズに答えることで企業価値を上げている会社を見つける手法です。

 

③インテグレーション

 財務状況やESG要素を加味して投資対象を選ぶ手法。

 正直、ネガティブスクリーンやポジティブスクリーンと何が違うのかよくわからないです。ネガティブスクリーンやポジティブスクリーンも企業の絞り方が違うだけで、当然に財務情報も含めて投資先を見ているはずなので、違いがわかりません。優先度で財務情報が一番に来るというこでしょうか。

 

 このほかにも、もっとESGの一部分に特化したテーマ型の投資方法や投資企業についてエンゲージメントや議決権行使を通じて改善や向上していく方法などもあるそうです。

 株主(投資家)さんもそれぞれがライバルだと思いますので、いろいろのポリシーや手法があるのでしょう。ESGの格付け機関でもスコアの基準が違うので一貫したESG投資の一貫性のある考え方がないとも言えるかも知れません。

 

ⅲ.ざっくり言えば、株主(投資家)がほしい情報はリスク回避と収益機会なのか。

 ESG投資の手法が様々ですが、株主(投資家)がほしい情報を自分なりに考えるとESG投資手法と目的を合わせてみると、『リスク回避』と『収益機会』の情報なのかと思います。

 

ネガティブスクリーン×リスク回避

 リスク回避に向けて企業がどのような活動をしているのかを重視しているということかと思います。

 例えば、不適正会計などがあれば、株価や業績が下がったりするので、ガバナンスが一定以上しっかりとしていなとない。工場で公害の原因となるものを吐き出していれば、工場を強制停止されたり会社の評判が下がれば、それも株価や業績が下がってしまうので、一定程度に環境を考慮した企業活動が必要でしょう。

 このようにESGについて一定以上守らないとリスクが高くなるので、どのようにリスクを回避しているかを開示情報してほしいのではないかと思います。(リスクが下がれば持続的な企業価値向上の担保になります。)

 

ポジティブスクリーン×収益機会

 ESGと企業のビジネスモデルやサプライチェーンをリンクさせて収益機会の増加の可能性を重視しているのかと思います。

 例えば、バナナの卸売屋さんがバナナ畑の農家さんに育成技術等をすることで農家さんの環境(社会的な貢献)が良くなれば、より品質の高いバナナを安価で仕入れることができ、さらに環境よくなれば不作の可能性が低くなります。そうなれば、卸売屋さん業界で競争力のあるバナナが仕入れることや品薄の可能性少なくでき、収益機会が増加したことになります。

 

 このようにESGがリスク回避や収益機会が増加することにより、ビジネスモデルやサプライチェーンの強化・維持につながり、持続的な企業価値向上につながるので、どのように活動しているのかの情報がほしいのではないかと思います。

 

EとSは全業種で一貫性のある情報は難しい。議決権行使の場面ではなおさら・・・。

 株主(投資家)目線について想像して整理してきましたが、ESGと一概にいっても範囲はとっても広いですし、株主さんも企業も営利団体でボランティア団体ではないので、儲かるためのESGのはずです。さらに業種や会社のビジネスモデル等によって評価する情報も違うと思うと思います。(SASBは業種ごとで数値化した評価方法を一部公表しているようです。)Gについては、CGコードなどで指針はありますが、EとSについては全業種で一貫性のあるESGの情報といるのも難しいのかと思ったりします。

 もっと言うと、株主という目線で言えば、投資対象という以外に議決権行使という権利があります。この点で、議決権行使に関するESG情報というとG以外は難しい。

 とくにプロの方はスチュワードシップコードで、議決権行使基準があり、一律で行使している傾向(ファンド別で行使する場合もある。)があり、Gはある程度業種を気にしないで基準が設けらえれていますが、EとSの明確な基準は皆無ではないでしょうか。基準を設けても取締役選任基準で定性的な基準が設けていないような気がします。

 

 では、終了です。ありがとうございました。

 

 

 

 

*1:SRI「社会的投資責任」・・・投資家も投資行動について社会的な責任(アセットオーナーへの責任も含めて)をもっており、社会に悪影響を与えるような会社に投資するのは問題があるので責任をもって活動しましょうという考え方